「ガンダム」ブライト艦長：鈴置洋孝さん死去。

前略、　こんな日は今までになくいっそう煙が目にしみる館長です。

ショックです。

■ 声優の鈴置洋孝さん死去　「ガンダム」のブライト艦長役

鈴置　洋孝さん（すずおき・ひろたか＝声優）が６日、肺がんで死去、５６歳。葬儀は近親者のみで済ませた。後日しのぶ会を開く予定。連絡先は東京都渋谷区桜丘町２９の１０の賢プロダクション。
　「機動戦士ガンダム」のブライト艦長などを演じたほか、舞台のプロデュースも手がけた。

そんな僕ですが、鈴置さんは特別。
僕にとってはむしろ舞台俳優としての鈴置さん。
鈴置さんとの出会いは、1994年に上演された舞台での共演でした。

同じ舞台俳優として共演、などと言うには、鈴置さんと僕とでは雲泥の差、月とスッポン、太陽とミドリガメほどの差がありまして、言うも憚れます。
が、当時、鈴置さんに初めてご挨拶したときに僕が、
「素人のような者ですけど宜しくお願いいたします」
みたいなことを言うと鈴置さんは、
「素人と一緒に舞台に立つ気は無いよ。　ライバルとしてよろしく」
というようなことをおっしゃって、それはそれで僕にとっては嬉しくもあり、かなりのプレッシャーでもあったわけです。

とはいえ、しょせん僕なんぞはやっぱり素人同然。
命懸けで舞台に臨む鈴置さんとは対照的にノンキなものでした。
当時すでに有名だったはずの鈴置さんのことも知らず、「よく飲むおじさんだなぁ」という失礼な印象。
どこの役者さんたちもそうだと思いますが、稽古が終わると必ず飲みに行き、鈴置さんはモーレツな呑兵衛ぶりを発揮しておりました。
僕はそんな鈴置さんをはじめとするみんなと飲みに行くのが楽しみで稽古してたようなものです。

僕にウーロンハイを教えてくれた鈴置さん。
ヘタすぎて落ち込む僕に、黙って酒をすすめてくれた鈴置さん。
「真剣に付き合うなら」と、女の子を紹介してくれた鈴置さん。
そしてその子とうまくいってるか気にかけてくれた鈴置さん。
いつも笑ってた鈴置さん……。

僕にとっての「鈴置洋孝」さんの死は、一人の声優の死ではなくて、大好きな人の死。

もっと会いに行けば良かった。
嫌がられるくらい会いに行けば良かった。
嫌がられるくらい話をすれば良かった。

嫌がられてもいいから、もう一度会いたい……。
　
　

ご冥福を祈ることさえできない気分。

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