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幻の駅「博物館動物園駅」一般公開イベント「アナウサギを追いかけて」を見たけれど
前略
ロマンはアートを駆逐する。
の館長です。
平成最後の冬。(←辟易しているでしょうが使わせてほしい。平成最後の頼みだ)
この期に及んで好きになってきた言葉は……
第1位:諸行無常
第2位:栄枯盛衰
第3位:盛者必衰
:
:
第6位:廃墟巡礼
……です。
そんな僕ですから、「廃止された駅舎が期間限定で一般公開されるぞ!」と聞けば、なにがなんでも行ってみたくなるじゃないですか。
京成電鉄「旧博物館動物園駅」の駅舎が廃止後初の一般公開
まず、「博物館動物園駅」という駅があったことをご存知か?
僕は寡聞にして存じませんでした。
鉄道好きならもちろんご存知でしょうけど、そうでない方でも、『こち亀』の愛読者ならご存知かもしれません。
1933年12月京成電鉄株式会社の駅として開業。
当時、駅舎の建設予定地が御料地であったため、御前会議での昭和天皇の勅裁を受けての建設となりました。
こうした事情が考慮されてか、駅舎内外の意匠は西洋風の荘厳なつくりとなっています。
開業以後、東京帝室博物館(現・東京国立博物館)や恩賜上野動物園の最寄り駅として利用されてきましたが、利用者の減少により、1997年に営業休止、2004年に廃止となりました。
2018年4月19日(木)付で、鉄道施設として初めて、特に景観上重要な歴史的価値をもつ建造物として「東京都選定歴史建造物」に選定されています。
京成電鉄株式会社では、歴史的価値が認められたことを契機として改修工事を実施し、補修や清掃を行うほか、昨年6月の国立大学法人東京藝術大学との連携協定により、同学の美術学部長でありUENOYES総合プロデューサーの日比野克彦がデザインした出入口扉を新設しました。
【略歴】
1933年12月:博物館動物園駅、開業
1997年4月までは営業してたんですから、この駅を利用しようと思えばいくらでもできたのに、あの頃だれも僕を博物館にも動物園にも誘ってくれなかったせいで、一度も行けなかった……(人のせい)
そんな理不尽な怨嗟や身勝手な後悔を払拭できる機会がやってきたかもしれない!
そう思い、僕は上野へと向かったのであります。
この案内図にも記載しておいてほしい。僕のためだけに記載しておいてほしい。
案内図で言うと「現在地」の「在」のところがちょうど「旧博物館動物園駅」に当たります。
“藝術” っぽさにあふれていますなぁ。特に「藝」が。
僕も世が世ならこの門をくぐっていたんだなぁ、と思うと感慨もひとしおだけど、そんな世は絶対に無い!
左から、「旧東京音楽学校奏楽堂」、公衆トイレ、「東京藝術大学」、道を渡って「黒田記念館」、右端が「旧博物館動物園駅」。
きっといろんな意味が込められているのだろう。分かんないけど。
入場は無料だけど整理券をもらわないと入れません。
なんとか整理券をもらうことができた。僕は平日だからと甘く見て午前11時に行ったのだけど、その時点ですでに15時からのぶんしか無かった。
みんな早すぎだし暇すぎ!(人のこと言うな)
しばらくすると「入場整理券配布終了」のお知らせが。思ってたより人が来る!
思ってたよりみんな暇すぎ!(人のこと言うな)
正面入り口から駅舎に入り、進路を進み、ガラス扉までは行ける。
ガラス扉の先の階段(3)を降りると「きっぷうりば」→改札→ホームへと続くが、残念ながらそれらまでは見ることができない。
僕はこの歌を知らなかったので、歌詞だけを見たとき、今井メロの “メロラップ” にでもインスパイアされたんかと思ったんだけど、京成のほうがずーっと昔に歌われてたようですね。
曲調はあんまり「グングン ズンズン」感がなくて、のんびりゆったりしてるんですね。
記念入場券を開くと、このようなアナウサギからのメッセージが。英語にも対応しているので、異人さんに連れられて行っても大丈夫だ。
おはよう。旧博物館動物園駅!
踊り場には今回はプロジェクターが置かれている。(プロジェクターを操作しているのは案内人のアナウサギ) 階段(2)まで降りきったところから入り口を見上げた様子。 階段(2)を降りた突き当たりには切符売場の名残りが3箇所。
できることなら、このままの姿で残してほしかったな。
要するにこの写真で見える範囲が、今回の一般公開エリアだ。 切符売場跡の横から階段方向を見渡したところ。
要するに、先ほどの写真の反対側から見た一般公開エリアということになる。 トイレ扉跡の前から階段方向を見渡した一般公開エリア。
こうしてみると分かるように、今回の一般公開エリアはきわめて狭い範囲だ。
ガラス扉まで来ました。進めるのはここまで。今回のイベントの企画の一つとして、来場者によってビッシリと書かれた寄せ書き。
その、わずかな隙間からガラス扉の向こうを覗きますと……
見えました。「きっぷうりば」と改札の跡。さらに右に進むとホームがあるわけです。 奥はこのようになっているようです。
やっぱり、かえすがえすも、改札やホームまで見たかったなぁ。
……知るかっ。
カップルの「ずっと一緒」みたいな落書きは、消してやれば良かったのにぃ。
てか、僕が係なら消してる!(根性、ことのほか悪し!)
あと、バンクシーは僕の私物に落書きしてくんないかな。
「この駅を」と書き足したのはちょっとナイスだね!
「ゾウやペンギンたちを……」とあるのは……
僕もちょっと気の利いたこと書いとけば良かったよ。(駅の存在さえ知らなかったくせに)
アナウサギを追いかけて
今回の一般公開に伴うアートイベントを見てみよう
■ 旧博物館動物園駅「アナウサギを追いかけて」 | UENOYES(ウエノイエス)
本作は上野でのリサーチを基にした物語を読み解きながら鑑賞するインスタレーションです。演出家の羊屋白玉は、国立科学博物館と恩賜上野動物園、京成電鉄株式会社の方々の声を集めてオリジナルストーリーを書き下ろし、舞台美術を手がけるサカタアキコが空間を構成しました。
旧博物館動物園駅の改札が地下にあることから、土を掘って巣穴をつくる習性を持つアナウサギをモチーフとしたそうです。
だからってなにも突き刺さんでも……。ウサギが不憫でならない。
ほら、白目むいてんじゃん。ツラいんだよ。ウサギが不憫でならない。
ドーム型天井がとても素敵。いっぽう、スケキヨ状態のウサギが不憫でならない。
天井から地面まで。この荘厳な造りは、やはり一見の価値があるけど、ウサギが不憫でならない。
中に1匹くらい本物がいたっておかしくない。
てか、僕が係なら混ぜとくよ。(混ぜるな危険!)
台の上には京成電鉄マスコットキャラクターの京成パンダが。 パフォーマーによるガイドツアー「触れる鑑賞ツアー」ご一行様がいらした。 このツアーは事前予約が必要で、僕が気づいたときにはすでに全日程が定員に達していたのであきらめた。みんな早すぎだし暇すぎ!(人のこと言うな)
でも、ちゃっかり、ツアーの一員のフリをして混ざってみたよ。
どっかの博士みたいなお客さんが「失われたものの再生」について書かれた本を紐解いていたよ。
椅子の意味も、キノコとフォークの意味も、またそれらが散乱している意味も、僕にはさっぱりさ。
キノコたちの “かごめかごめ”。 これは「あみぐるみ」ってやつなのかな? 椅子の後ろにはヴァイオリンが。高嶋ちさ子のヴァイオリンなら真っ二つにしてやるのに!(ゲーム機の恨み)
ぐるっと展示を見ていこう。真ん中でケースに入れられているのがホァンホァンの頭蓋骨だよ。
国立科学博物館・動物研究部 支援研究員理学博士(長いよ)である森健人氏が制作した3Dプリントレプリカの骨格標本。博物館の収蔵庫的なイメージを再現するため、ラベルを付けている。
例えばこれだと、登録年が2017年、学名がElephas maximus、和名がアジアゾウ、動物園にいたメスで愛称「ハナコ」というゾウの30%大のレプリカということが読み取れる。
そして、骨格標本を置いてある台が、その動物の外観を模して作られている。
さらに、台の下にはその動物が排泄するウンコレプリカまである。
このホァンホァンの骨格標本はレプリカ。ウンコは笹団子のようだ。
お手洗いマークの前に置かれたヒト。 ヒトのウンコはなんだか生々しくてイヤだ。1個くらい本物のウンコが混ざっていてもおかしくない。
てか、僕が係なら混ぜとくよ。
博物館動物園駅が営業を停止した1997年は、奇しくもジャイアントパンダのホァンホァンが亡くなった年でもある。そこで今回、ふだんは公開されていないホァンホァンの頭蓋骨(これだけはレプリカでなく本物)が中央に展示されることとなった。
歴代パンダの中でもホァンホァンは、一番の “お母さんパンダ” として僕の中では強く印象に残っている。
「こんな骨になっちゃったのかぁ」という切なさとともに、「本当にお疲れさまでした」という労いの気持ちが湧いてきた。
3Dプリントレプリカ骨格標本を作った、国立科学博物館研究員・森健人氏による説明。 アナウサギ人間が迫ってくると、そこそこ怖い。 アナウサギ、ヴァイオリンを弾きはじめた。ちさ子のヴァイオリンじゃなかったようだ。
良かった、真っ二つにしなくて。
でも、ちさ子のヴァイオリンのほうがはるかに高いと思う。
例のガラス扉に皆さん思い思いのコメントやイラストを書いていく。 イラストはパンダとペンギンとウサギが多いかな?コメントはやはり、ホームまで行きたいという声が多い。
なぜかチーバくん。 千葉県からいらしたのね。 「いちばんパンダらしくないパンダ大賞」をこのパンダにあげたい。パンダの上には、ウサギ年にもイノシシ年にも使えそうな好都合な動物のイラスト。
京都から来たこの方には、どなたかが整理券を譲ってあげたようだ。なんて素晴らしい方なんだ。 おおっ!
通はこの駅のことを “博動” と呼ぶんですね!
僕も今日から使わせてもらおう。博動。
博動。
さあ、ご一緒に、
博動!
『こち亀』で読んだという人も多いんだろうなー。 このイラスト、いいなぁ。平成9年3月28日の切符は、この駅の休業の3日前のだ。
大事にとってあるのかな。
見終わって……
まことに恥ずかしながら……。
僕にはほんと、アートってものが理解できないようで。
“地下にある駅だから、アナウサギ”
“駅の休業の年に亡くなったから、ホァンホァン”
……ってことしか脳が正常に処理できませんでした。
レプリカの骨格標本とかキノコとかウンコとかちさ子とか並べられても、ほんと申し訳ないけど僕にはまったく情動がカモンヌしなかったわけです。
それより、ずーっと、ガラス扉の向こうの「きっぷうりば」や見ることができないホームに思いを馳せていました。
ガラス扉に張りついて見ているその姿は、あたかもショーウィンドウの向こう側のトランペットを見つめる黒人少年のようだったでしょう。
無料だから多くは望みません。望めません。
でも、だったら有料でもいいから、もうちょっと駅の中を見てみたい。
この駅の場合、駅舎そのものだけでアートとして成立してないですか?
そこにまた別のアートを持ち込まなくてもいいんじゃないか? などと思ったり……。
アートのなんたるかを分かりもしない僕がこんなことを言うのは、アーティストはじめ関係各位にはたいへん失礼かとは存じます。(ちさ子にも)
とはいえ、僕が書く僕の感想には僕の本音を僕の姿勢で書かなきゃ意味がないわけでして、そのへんは持ちつ持たれつということでお願いします。
全然、持ちも持たれもしないんですけど。
いや、よしんば僕にアートを解する感性があったとしても、今回ばかりは廃駅というものへのロマンが強すぎて、僕の気持ちの中からはアートが駆逐されてしまったことに変わりはないと思います。
先ほどは「有料でもいいから駅の中を見たい」と言いましたが、おそらく安全上の問題などから、どんなにお金を積んでも(積むほど無い)、もう中へは入れてもらえないのでしょう。
そう考えると余計に駅への思いが強くなるばかり……。
高価なトランペットでも、ジャックスのクレジットならなんとか手に入れることができます。
でも、博物館動物園駅の中を見ることは、ジャックスのクレジットといえども叶わないのです。
僕は今回、なんだかんだで、ジャックスの限界を知ることとなったのでした。
いつの間にかジャックスへの風評被害だな。
―― へのコメント。